第9章
スマホの中から聞こえたのは大塚雪見の声ではなく、見知らぬ女性の焦りを帯びた声だった。
「琛様、大変です。ネット上で雪見姉が薬を盛ったという噂が広まって、怒ったネットユーザーが押し寄せて雪見姉の家に生卵を投げつけています」
「雪見姉が自殺を図って、今病院に...」
望月琛の顔色が一気に暗くなり、まるで暗雲に覆われたようだった。
昨夜、大塚雪見が薬を盛ったことを認めたのは望月家の広間でのことだ。望月家の人間で、誰がこんな噂話を広めるだろうか。
考えられるのは...前田南しかいない!
望月琛はスマホを強く握りしめ、奥歯を食いしばった。
「とりあえず彼女を頼む。すぐに行く」
言い終わ...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章

9. 第9章

10. 第10章

11. 第11章

12. 第12章

13. 第13章

14. 第14章

15. 第15章

16. 第16章

17. 第17章

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